2019

パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴー

2019
白ワイン用ぶどうの収穫は、理想的な条件のもと、9月2日から12日にかけて実施しました。パヴィヨン・ブランのトレードマークであるスタイルとクオリティの高さはそのままに、5年ほど前から研究開発チームが中心となってテロワールごと適切な収量を算出し、その数値を考慮した栽培管理を心がけています。おのずと剪定作業の重要性は増し、ぶどう樹それぞれに最適と考えられる房数に調整しています。房ごとの熟度を入念にチェックして収穫適期を判別し、収穫作業は時期をずらして二度に分けて実施しています。


今夏、畑の衛生状態は非常に良好で、天候の影響により心配された水分ストレスもほとんど見られませんでした。糖と酸のバランスを緻密にチェックするだけで収穫適期を見定めることが出来ました。
パヴィヨン・ブラン 2019は、みずみずしくエレガントで、すらっとしたスタイルのワインです。2017年ヴィンテージと重なるところもあります。香りはとにかく精巧で、濃密かつ複雑。育成・熟成期間がまだ数ヶ月ほど残されていますが、今後さらに濃醇さを増していくでしょう。トップクラスのソーヴィニヨン白ワイン特有の、酸味をしっかりと持ち合わせながらもオイリーな口当たりのワインに仕上がるでしょう。優良年である今年は、収穫したぶどうの半数程度をパヴィヨン・ブランの原料に使用しています。

Margaux

気象条件

2019年は世界各地において気温の上昇が見られ、観測史上最高を記録しました。フランスでも平均気温は13.7度にまで達し、これは平年より1.1〜1.2度ほど高い数値です。


マルゴーにおいては、2019年の冬は暖かく(過去30年平均を1〜2度上回る気温)、雨は少なく(過去30年平均を30ミリメートル下回る降水量)、凍霜の発生も稀(3日のみ)でした。このような天候のもと、ぶどう畑では3月29日から4月4日にかけて萌芽が確認されました。
春には穏やかな好天が続き、気温はほぼ平年並みでした。4月末、そして6月5日から18日の期間にはかなりの量の降雨を記録しています。開花は6月1日から9日にかけて、比較的順調に進みました。一部メルロの古株区画においてのみ、花ぶるいの症状が見られています。上述の降雨によりベト病の発生が危惧されましたが影響は一切なく、ぶどう畑の衛生状態は年を通じて良好に保たれました。
その後に迎えた夏は多雨だった春とは実に対照的でした。今夏は長期にわたって高気圧に覆われ、6月21日から9月21日の期間の雨量はたったの64ミリメートル。2019年の夏で特に印象深かった出来事は、6月末、そして7月22日から24日にかけての酷暑です。マルゴーでも最高気温39.9度を記録しました!
赤ワイン用ぶどうの収穫は9月18日にスタート。理想的な条件のもと、十分に凝縮した完璧な熟度のメルロが収穫できました。9月22日から29日にかけてはあいにくの悪天候でしたが、ぶどうの衛生状態に大きな影響はありませんでした。逆に、雨と曇天のおかげで熟度の進みが抑えられ、ぶどうに過度な負担がかかることもなく、その結果、酸はうまく保たれて、アルコール度数も高すぎない数値に落ち着きました。ぶどう果実は8月5日から10日にかけて着色し、それ以降ゆっくりと凝縮を進めました。上述の雨で心配された希釈の被害もほとんどなく、9月末から10月初旬にかけて収穫を迎えることが出来ました。
収穫作業は10月10日に終了しています。