2018

パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴー

2018
アロマ表現はもちろん、ストラクチュアに関しても、ぶどうの収穫日がワインのスタイルに及ぼす影響がいかに大きいか、議論の余地はないはずです。シャトー・マルゴーでは、「最適なタイミング」の決定に有効とされるあらゆる生理学的基準に注視して栽培に取り組んでいます。2018年、ヴィルフーガス(Virefougasse)の区画では比較的重度の水分ストレスが確認され、長期にわたって日照量も多く、この場合はまさに酸が収穫日決定の重要なパラメータとなりました。みずみずしさを含ませることで、時間の流れにできるだけ耐えうるチャンスをパヴィヨン・ブランに与えたかったのです。豊富な日照量と低めの収量とが組み合わさり、十分な糖分レベルの、心地良くかつ複雑なアロマ表現を含むぶどうが実りました。収穫は早めで、8月27日から8月31日にかけて行ないました。



厳選区画から生まれる秀逸ロットのみを使用する方針に一切変化はありませんが、同ヴィンテージは試飲段階から均質性が驚異的に高く、その結果、生産の半分近くがパヴィヨン・ブラン 2018に使用されるという、過去ヴィンテージと比較すると高い採用率となっています。天候を鑑みると2017年ほどは上質白ワインの生産には適さなかった年のように思われますが、これまで約10年、シャトー・マルゴーがつくり続けてきた白ワインのスタイルに忠実で、裏切らない逸品としての地位を確立していくでしょう。

Margaux

気象条件

2018年は20世紀初頭以降で最も暑い年となり、フランスの年平均気温を1.4℃上回る数値を記録しました。この年、マルゴーでは、年始めにあたる冬は平年よりも比較的温暖な天候続きで、2月には凍霜害がいく度か確認されましたが、シャトーの畑に目立った影響は出ていません。その後は季節を問わず年を通じて通常以上に気温は高く、時には酷暑でした。6月下旬および8月上旬には、過去30年の平均気温を4℃以上上回る数値を記録しています。


上半期にはたっぷりと雨が降り、マルゴーにおいては1月1日から7月10日の期間、約630ミリメートルもの降水量を記録しています。この雨により、畑での作業にも若干の支障が出ています。偉大なるヴィンテージへの期待感は雨が降るたびに薄れていき... そんな中、ようやく高気圧に覆われて我が地方にも夏らしい天候が戻り、収穫終了まで好天が継続しました。7月中旬から9月末にかけての降水量は48ミリメートルと極めて少量でした。降水量の推移を見ると2009年ヴィンテージを想起させる1年です。

以上のような天候のもと、ぶどう樹の萌芽は比較的遅く、4月4日から4月10日にかけて進みました。開花は5月25日から5月28日の期間に進み、その時期はかなりの悪天候ではありましたが、花ぶるいや結実不良(ミルランダージュ)が起こりやすいことで知られるメルロ種の区画においてさえ、特別な被害は確認されていません。最大の困難はベト病対策でした。ベト病の影響を受けて、今年の収量は結実直後に期待された数字よりも若干少なめです。
白ワイン用ぶどうの収穫は8月27日の週に実施しました。赤ワイン用ぶどうは絶好の環境を享受しながら9月17日から10月13日にかけて収穫しています。今年もまた、区画ごとに最適なタイミングを選んで収穫できる状況に恵まれました。ボトリティス菌の発生もなく、天候も穏やか。最も早熟なメルロと最も晩熟なカベルネ、それぞれが最適熟度に実るまでに十分な日にちの開きがあり、醸造に取り掛かってからも、それぞれのタンクが必要とする作業を丁寧かつ適時に行なう余裕が持てました。今年は100に迫る数のロットを個別に醸造しています。さらに高精度の、さらに効果的なセレクションを目指した結果です。