2021

グラン・ヴァン・デュ・シャトー・マルゴー

2021

Margaux

気象条件

2021年の冬は、年始2ヶ月間に230ミリメートルを超す降雨を記録しましたが、気温の面では暖冬傾向でした。3月はより乾燥した暖かい天候が続き、ぶどう樹は3月23日から30日にかけて萌芽を迎えました。春には大規模かつ深刻な霜害に悩まされました。シャトー・マルゴーでは白ワイン用区画に噴霧式防霜システムを設置していますが、近年稀なレベルで同システムを稼働させています。急激な気温低下の影響を受け、1ヘクタール近い白ぶどう畑で収量低減が生じました。一方、赤ワイン用区画は霜害からは一層守られた環境にあり、朝霜の影響を受けたのはごく一部のぶどう樹に限られています。


続く5月および6月にはかなりの降雨に見舞われ、真菌性病害への入念な対応が不可欠でした。そんな中でも葉も房も健全な状態に保つことができたのは、畑チームの献身的な努力の賜物です。開花は6月1日から6日にかけて通常どおりの日程で進みました。結実に関しても一部の古株区画で花ぶるいが生じた以外は極めて順調でした。
多雨となった7月とは対照的に、その後の8月および9月前半は非常に乾燥した天候が続きました。白ぶどうの収穫直後に45ミリメートルの雨が降ったのみで、赤ワイン用ぶどうの収穫への影響が懸念されました。
2017年ヴィンテージ同様に以下の選択が迫られました。熟度は不十分であってもボトリティス菌が繁殖してしまう前に収穫するか、あるいは9月末の太陽を待ってさらに熟度の高い凝縮した風味のぶどうを収穫するか。シャトー・マルゴーが取った選択は過去同様、「ぶどうの品質を最優先する」でした。メルロの早熟区画では9月24日に収穫を実施し、一方、カベルネの上質区画は10月4日まで収穫を待ちました。収穫終了は10月13日です。栽培にはとにかく苦心した1年でしたが、高い作業品質を維持したことにより、エレガントで濃厚な風味のヴィンテージが誕生しています。