2007

グラン・ヴァン・デュ・シャトー・マルゴー

2007
奇跡の話ばかりしていると、自然は、特にボルドーでは、そもそも気まぐれだってことを忘れてしまうかもしれません。そもそも、異なるタイプの、予測ができないヴィンテージが次々と生まれる、それがボルドーの魅力でもあるし、ボルドーの面白みのひとつであって、そしてワインに他では出会うことのない威力を与えています。8月末の時点で一体誰がこれだけの品質のワインが生まれると予想できましたか?ああ、いつも夢見るインディアン・サマー、それがない年もありますが、それに恵まれる年はなんと激しく我々の胸を高鳴らせてくれることでしょう!


2007年は、不安、時として苦悩、希望、熱狂、疑念、そして平穏、これらがめくるめくように襲ったヴィンテージのひとつです。それでも終始一貫して我々が保った対応は、結局のところ厳格さでした。アッサンブラージュではファーストラベルに使ったぶどうは全体のたった32パーセント。これまで適用したことのないレベルの厳しい基準での選別でした。もちろん偉大なる品質の区画はすべて選び出されました。中には歴代最高レベルで実った区画もあります。カベルネはとにかく高貴で上品で、繊細かつ濃厚な仕上がり。アッサンブラージュの87パーセントを占め、2007年もいつもどおり、カベルネがシャトー・マルゴーの個性の主原料となっています。メルロ(11パーセント)は今回は存在感大きめ。芳醇で柔和なテクスチュアのおかげです。その他、今年比較的うまく育ったカベルネ・フラン(2パーセント)を含んでいます。結局、トップクラスから外れてしまったのはカベルネの晩熟区画の一部とプティ・ヴェルドくらいです。これらは熟度を高まらせるのがどうにも困難だったようです。さらに数年待つのが賢明とは思いますが、今飲むこともできます。(2018年10月)

Margaux

気象条件

特に穏やかで乾燥した冬によって、平年並みの2006年と比べ、15日早いブドウの開花となった。その後春はいつものようにコントラストを示した。すなわち3月は穏やかで湿度が高く、4月は非常に暑くかつ乾燥し、5月は穏やかで非常に雨が多く、6月は殆どいつも通りで、平均よりも僅かに湿度が高かった。よって開花時期は長引いたが、重大な花振いではなかった。大小問わず多くのビンテージが、実際そのようにして始まった…。


6月末から涼しく比較的殆ど日が照らない天気が長期的に続き、頻繁に降る雨が特徴的だった。これは「雨の多い夏」という全般的な印象を与えた。この気候条件は、べと病に非常に好都合だったが幸い、今日では昔に比べ、これは非常に上手く管理されている。また8月末まで成長し続けたブドウの成長にも好都合だった。私たちは、収穫の前数週間に、普通ではない状況の急変を経験によって分かっているので、少々気になり出していた…。
よって暑く非常に乾燥した信じられないような9月の幸せな驚きは、私たちの不意を打つことにはるはずなかっただろう。すんわち最近、2002年、2004年のように、多くの非常に良質なヴィンテージがこのようなシナリオを経験しているのだ!この偉大な好天は、長々と10月まで続いた。このため記録的な長さを持つ植物サイクルの後に、ついに成熟に達した区画を非常に遅く収穫することができた。(9月27日の収穫)