2008

グラン・ヴァン・デュ・シャトー・マルゴー

2008
2004年から2008年にかけては、2005年を除いて8月に好天に恵まれた年はありません。それでもぶどうは、少なくとも偉大なるテロワールを有していれば、9月の好天のもとでしっかりと熟度を進めることができています。その他にも我々が見落としている成功の要因はいくつもあるはずです!2008年、この年はおそらく7月の干ばつ傾向が8月の雨(しきりに降り続いたけれど雨量は少なめ)の調整に働いたかもしれません。9月中旬からは好天が続き、雨の影響はかなり抑えられました。奇跡ではありません、ただ無知であるだけです。


いつものように厳しい基準での選別によってヴィンテージの隠れた性格が引き出されています。2008年も例に漏れず、収穫の36パーセントのみがファーストラベルに選び抜かれました。(さらに言うと、この割合は、澱引きで抜かれるワインを含む生産ロスも考慮して、ボトリングの段階では生産ワインの31パーセントを超えることはありません。)いずれの品種も調和よく役割分担ができています。アッサンブラージュの10パーセントを占める最高品質のメルロは、たくましさ、粘性、そして肉づきをもたらしています。これらは2007年あるいは2006年にはなかった特徴です。カベルネ・ソーヴィニヨンは87パーセント。もちろん中心人物的品種です。ワインを生かすのも、我々を感動させるのもカベルネです。その他、1.5パーセントのカベルネ・フランと1.5パーセントのプティ・ヴェルドの存在も忘れるわけにはいきません。ひかえめだからといってこれらが及ぼす影響力は偉大です。
2008年ヴィンテージは、非常に素晴らしいシャトー・マルゴーです。香りのフィネス、ピュアさ。そして2004年と同等に深く魅力的な香りを備えています。味わいのたくましさには驚かされます。これほどまで濃厚で余韻が長く芳醇な仕上がりは期待していませんでした。なんとも素晴らしいタンニン!2008年シャトー・マルゴーに、非常に引き締まったテクスチュアと偉大な余韻をもたらし、結果的に、我々が思い描いていた以上にクラシカルなスタイルのワインに仕上がっています。理想を言うならさらに数年待つべきワインです。(2018年10月)

Margaux

気象条件

かなり乾燥した冬の後で、春は湿度が高く爽やかだった。4月の初めは非常にひんやりとさえしていた。私たちのソーヴィニヨン・ブランの区画であるヴィルフガス地区の私たちの不凍結散水システムは、4月7日に首尾よく始まる必要があった!5月は、特に湿度が高く、これは、ブドウの木の非常に感受性が高い時期のべと病の発展に非常に好条件を生み出した。よって2年続けて、植物衛生保護に関して非常に警戒する必要があった。それでも私たちは化学処理に代わる解決策を見つけるために努力を続けた。失敗が許される場合ではなかった…。


開花は6月の初めに始まり、まさに標準並みの時期だった。開花は、強い雨によって部分的に妨げられ、この雨は、間違いなくメルローの特定の区画で観察された花振いや結実不良の原因になった。ともかくより少ない「収穫」となった。つまりこの時にはより少ない収穫を予想することができた去年よりも少ないということだ。 それから夏を通して、7月8月9月については、平均よりも約2度気温が低く涼しかった。しかし8月と9月15日までは、定期的に雨が降ったが、7月は非常に乾燥した(せいぜい10ミリの降水量)。涼しさと湿度によって、もちろん色づきと成熟が遅れ、少しずつ私たちの楽天主義をむしばんでいった…。
その後さらに奇跡と呼ぶ者もいるだろう天候は、9月半ばから全く変わった。晴れて乾燥し始め、この好天は、実際にひと月遅れた収穫の最後まで続いたのだ!(10月3日の収穫)