1964

グラン・ヴァン・デュ・シャトー・マルゴー

1964
1964年は記憶にしっかり残る年でした。雨が降り始める前にぶどうの収穫を終えてしまおうと考える造り手たちは、長年早めに収穫する傾向が見られました。そして雨が降り始めてから収穫を行なった者たちは、もう同じ失敗は繰り返さないぞと誓ったものです。この失敗したくないという恐怖心が多くのぶどう栽培者を早め早めの収穫へと駆り立て、結果、1970年や1975年のように、ヴィンテージによっては大急ぎで収穫を行なったことで少々残念な仕上がりになってしまったものもあります。


シャトー・マルゴーでは、この年、ゆっくりと大急ぎで収穫を実施しています。ほぼ半数のぶどうは雨の前に、残りは残念ながら苦悩の中、雨の中での収穫となりました。降り続く雨によって、ぶどうの衛生状態はたちまち悪化。最終日の収穫ぶどうは重度の腐敗にさらされていました。
シャトー・マルゴー1964年はこの二面性を留めています。すなわち、非常に良質なワインではあるけれど、偉大なワインになり損ねた。今では繊細で、複雑かつ深みのあるブーケを有し、味わいの余韻も長い仕上がりです。少々濃厚さと肉付きに欠けますが、最後までエレガントです。いま飲むべきワイン。(2018年10月)

Margaux

気象条件

時期の早い開花の後に、夏は暑く乾燥し、非常に好意的だった。9月は特に暑くさえあり、このことによりブドウの実は、成熟の素晴らしいレベルを手に入れることができた。しかし10月5日以降、3週間にわたる雨が止むことはなかった…。(9月21日の収穫)