2013

パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー

2013
収穫のわずか数日前に襲ったボトリティス菌の突然の発生は、稀に見るものでした。発生する真菌の種類に変化はありませんが、対処の仕方は70年代とは異なります!現在では人員を強化し、技術研修を行き届かせ、素早く完璧に選果する能力を誇る収穫チームを結成しています。また醸造庫では、ぶどうの選果システムや醸造用の近代的な設備を導入し、10年前では考えられないような生産が実現しています。


ところがこれだけの労力を費やしても、成熟の遅いカベルネの区画の熟度を調整することや、メルロの結実不良被害を消し去ることは、残念ながらできません。それゆえにこのヴィンテージにおけるアッサンブラージュの決定には厳しい基準を課しています。パヴィヨン・ルージュは赤ワイン用収穫の21パーセントで、サードとフォースが41パーセントを占めるのに比べて少なく、パヴィヨン・ルージュの歴史の中で最も希少な生産となりました。
ぶどう品種のブレンド比率は、このヴィンテージの長所と短所の表れと言えるでしょう。メルロは開花期の難局を乗り切ることができず、なす術もないまま、わずか10パーセント。カベルネ・ソーヴィニヨンは、私たちのテロワールへの傑出した適応力が明らかとなり、84パーセント。期待以上に素晴らしい出来となったプティ・ヴェルドが4パーセント。そして2パーセントのカベルネ・フランを加えることによって、このヴィンテージの難関を巧みに切り抜けました。
このように前代未聞の采配を振ってようやく、パヴィヨン・ルージュ2013年は、予想以上の素晴らしい品質に達しました。これが15年前であれば、すべてグラン・ヴァンにブレンドされていたことでしょう。飲み始めてもいいですが、さらに数年はいい状態の熟成が進むでしょう。(2018年10月)

Margaux

気象条件

冬の終わりや春の気温が極めて低かったため、芽吹きは遅れ、開花期も平年より15日ほど遅く訪れました。また、これらの時期はずっと降雨量も多かったため、開花はもどかしいテンポで進み、結実状況も厳しく、特にメルロ種はミルランダージュ(結実不良)が蔓延し、不結実も多く見受けられました。後者の現象は、カベルネ種については被害がより少なかったと言えます。ただ一挙に、2013年ヴィンテージは生産量が期待できない状況となってしまいました・・・。



幸いにも、夏の日照りのおかげでブドウの生育の遅れを幾分取り戻すことができ、色付き期は開花期ほど不揃いにはなりませんでした。おそらく少量のブドウだったからこそ、生育の遅れを調整できたのでしょう。9月初旬は、少ない収穫量とはいえ、素晴らしい状況でブドウが熟していくであろうと期待は高まりました。

9月は、比較的乾燥していると同時に雨量も多いという、不可解な天候でした。頻繁な小雨は、大雨を誘発することなく、程よい雨量をやや上回る程度で収まりました。9月末までは特に収穫に影響を及ぼす気象状況ではありませんでしたが、突如、灰色カビ病が進行したため、収穫開始を早めました。とはいえ、最終的にはブドウの理想的熟度に達するのに1週間ほど足りない程度で、偉大なヴィンテージへの望みは絶たれたものの、すべての見込みが失われたわけではありませんでした。

白ワイン用ブドウ品種の収穫は9月19日から27日、赤ワイン用ブドウ品種の収穫は9月30日から10月11日にかけて行われました。